この本,いかがですか?
ポジティブな出産体験とは何か?ケアを見直すきっかけをくれるガイドライン
増澤 祐子
1
1東京医療保健大学 千葉看護学部
pp.542-543
発行日 2021年7月25日
Published Date 2021/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665201842
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
2018年に,22年ぶりの改訂となるWHOの出産に関するガイドライン“WHO recommendations:intrapartum care for a positive childbirth experience”が出版された。私は,タイトルの“a positive childbirth experience”という言葉を見て,ガイドラインの作成者たちは,どのような思いを込めてこのタイトルを付けたのだろうかと,考えを巡らせたことを覚えている。その出版から3年後の2021年1月,日本語版翻訳書である『WHO推奨 ポジティブな出産体験のための分娩期ケア』(以下,本書)が出版された。待ちに待った日本語版の出版であった。
世界の人口における英語のネイティブスピーカーはたった6%とされる。英語で書かれた情報を多言語に翻訳することで,多くの人に理解,活用してもらうことができる。多くの日本人がWHOのガイドラインの内容に触れるためには,日本語版翻訳書の出版はとても重要である。本書を手に取り,内容に触れることで,日本の助産ケアにこれからどのような変化がもたらされるだろうかと,心が躍った。それと同時に,このガイドラインの日本語訳を担当してくださった,分娩期ケアガイドライン翻訳チームの皆さんに,心から敬意を表した。私自身,コクランレビューのエビデンスを日本語で広める活動に5年以上関わっており,原文の意図を損なうことのないよう,そして,日本のコンテクストに合った用語や注釈を使用しながら,分かりやすい日本語にすることは簡単ではないと経験から知っているからである。
Copyright © 2021, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.