連載 りれー随筆・363
助産師への道—きっかけはグアテマラのボランティア活動
久野 佐智子
1
1京都大学大学院
pp.264-265
発行日 2015年3月25日
Published Date 2015/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665200162
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およそ1年前,私が助産師を目指して大学院に進学するまでには,いろいろな経緯がありました。そのなかでもこの道を目指そうと決定づけたのは,グアテマラで経験したJICAボランティア活動です。
私が看護師として派遣されたのは,グアテマラ第2の都市であるケツァルテナンゴ(通称シェラ)の中心地から車で30分ほど離れたカンテル市にあるシェカム村というところでした。人口およそ4000人の99%が先住民で,女性は皆,手織りの巻きスカートに美しい刺繍の入ったブラウスの民族衣装を着ています。村人の間ではキチェ語という先住民族マヤの言語が話されていますが,ほぼ全員スペイン語も話すのでバイリンガルです。ちなみにグアテマラの公用語はスペイン語に加えて,先住民のマヤ語が23言語,合わせて24言語もあります。日本の3分の1にも満たない国土面積でこれほどの言語が話されていますので,山を超えた隣の村では言葉が通じないことはしょっちゅう。村の人々はそこで生まれ,育ち,結婚して子どもを産んで,多くはその村で一生を終えます。
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