連載 Motherへのまなざし・8【最終回】
―青柳助産院―青柳かくいさん・三好玲子さん
宮崎 雅子
pp.692-697
発行日 2012年8月25日
Published Date 2012/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665102259
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助産婦に魅せられたきっかけの女性
撫子の花のように生きたい――そんな思いを胸に抱き,7人の子を産み育てながら助産婦として生き抜いた人がいます。青柳かくいさん――その名を初めて知ったのは,1986(昭和61)年初夏の小さな新聞記事でした。20代半ば過ぎ,写真学校で学んでいた私は,写真のテーマとなるものを探していました。妊娠していたわけではなかったものの,いつか子どもを産みたいと思っていたので出産準備クラスに通い,そこでラマーズ法や助産婦という存在を知りました。
「助産婦」という美しい響きに引き寄せられ,いてもたってもいられなくなった私は,記事を頼りに電話帳で青柳さんの名を見つけ出し,震える手で電話をかけました。受話器の向こうで,優しい,柔らかな声が聞こえ,声の主は青柳かくいさんその人だとすぐにわかりました。断られるのを覚悟で「写真学校に通っています。助産婦の記録を残したいので写真を撮らせていただけませんか」とお願いしたところ,「じゃあ,お話を聞きますので一度いらしてください」とお返事をいただきました。天にも昇る気持ちになったのを今でも憶えています。
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