連載 スキルアップのための症例検討 問題発生時に助産師はどう対応するか・11
HELLP症候群とDIC
進 純郎
1
,
高木 愛子
2
1聖路加看護大学臨床
2元 愛賛会浜田病院
pp.166-169
発行日 2010年2月25日
Published Date 2010/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665101607
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症 例
Bさん35歳,1回経産婦,既往歴に特記すべきものはなし。
現病歴:妊娠経過に異常なく,妊娠36週時点で,身長157cm,体重56kg,血圧134/78,尿たんぱく(±),尿糖(-),妊娠高血圧症候群の所見は認めなかった。
妊娠38週3日,陣痛が発来し入院となる。軽度の頭痛と嘔気を伴うものの,慎重に経過観察することにした。入院後6時間で経腟分娩し,児は2650g,アプガー・スコア6点(1分値),8点(5分値)であったため小児科医に対診をお願いし,保育器に収容した。
Bさんは分娩直後より嘔気,嘔吐が強くなり,頭痛も軽快せず徐々に強くなった。血圧は162/108であった。分娩時出血は520gであったが,次第に出血量が増量し,産後30分で総量1100gとなった。輸液のためのVルートの周囲に皮下出血が出現し,意識レベルが低下したため,緊急に高次の医療施設に搬送した。搬送直後に強直性痙攣が出現し,産褥子癇が合併したことを確認した。
入院時の検査所見では,Hb12.8g/dL,血小板6.2x104/mm,フィブリノーゲン240mg/dL,ATⅢ60%,aPTT86秒,FDP80μg/dL,GOT830IU/L,GPT364IU/L,LDH3422IU/Lであった。
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