特別記事
新しい助産師像を描いて―第23回日本助産学会招聘講演より
日野原 重明
1
1聖路加国際病院
pp.696-700
発行日 2009年8月25日
Published Date 2009/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665101490
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産科への関心
看護の学会ではいろいろなところで講演をしてきましたが,日本助産学会で講演するのは初めてです。私はあと2年もすると100歳になるのですが,その手前でこの学会で講演することは,私にとって非常に印象的です。
私は京都大学大学院で学位をとる際,循環器内科で心音について研究していました。胸壁上よりも心臓に近いところにマイクを置けばもっと感度がよくなると考え,食道から飲み込めるマイクをつくりました。今の内視鏡と同じようなものです。指先ぐらいのものを食道の下部で左の心房の後ろに当てると,心房の音が聞えます。普通,心音というのは心室の音ですが,心室が収縮する前に心房が収縮するときに心房音が出るのです。その後はマイクをもっと小さくして静脈カテーテル状にして右心室の中に入れ,心臓内での心音をとりましたが,戦争が始まってしまい,論文を発表できませんでした。食道内の心音についての私の論文は,戦争中でしたがアメリカの専門雑誌に載りました。
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