連載 バルナバクリニック発 ぶつぶつ通信・55
「支援しに来たよ!」の前に少し考えてほしいこと
冨田 江里子
1
1St. Barnabas Maternity Clinic
pp.1000-1001
発行日 2008年10月25日
Published Date 2008/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665101319
- 有料閲覧
- 文献概要
いきなり来て「性教育」と言われても…
実は私のクリニックにも「自分が役に立つ!」といきなりやって来る人がいる。先日は日本の産婦人科医師という人が愛人らしい女性を伴ってやって来た。産科医と聞いて「日本からアトニンや点滴なんかが支援してもらえるかも!!」などと期待したら「もう廃業したのですよ」と言われ私の期待は崩れ去った。
その医師いわく「医者は引退したのだけど,でもときどきフィリピンに来るので,あなたのところでお手伝いをしてあげようかと思っているのだよ。たとえば高校なんかで若年妊娠を防ぐために性教育とか,僕が教えられるんじゃないかなーと思って,どうだろうか?」と。いくら滞在が長い私でも,いきなり高校へ行って「今から性教育を日本の産婦人科医が教えてくださいます! すぐに生徒を校庭に集めてください」などと高校へ掛け合う力はない。高校も予定を立てて授業をしているのだから。そんなこともわからないぐらい,フィリピンなら自分の提案はありがたく受け入れられると信じているご様子だ。
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.