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『スーパーバイズでお悩み解決! 地域における支援困難事例15』—現代の家族が抱える複合する健康課題の解決に向けて地域ケアシステムをデザインするためのガイドブック
武田 世津
1
1山形県庄内保健所
pp.758
発行日 2017年9月10日
Published Date 2017/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664200769
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地域の中では高齢化の進展により,65歳以上の夫婦のみ世帯や単身世帯が増加している。晩婚化,少子化も相まって,人口ピラミッドは杯型へと姿を変えようとしている。また,社会保障・人口問題研究所の推計によれば,2035年には高齢女性の23.4%,高齢男性の16.3%が一人暮らしとなるという。これまでは一人暮らしの高齢者といえば圧倒的に女性が多かったが,今後は男性の一人暮らしも増加していくとの報告がある。
これまでセーフティネットであった家族は,支え手としてのマンパワーと,絆というネットワークを併せ持っていた。しかし,現代ではそれが脆弱化している状況を社会のどこにあっても感じる。地域で暮らしていれば,昔は隣の家の事情がよく見えていた。今は一軒一軒の家族の顔を知ることも難しい。何らかの問題が地域の中で気付かれたときには,それは困難事例となって公になる。そうなると,誰が,どうやってその家族の問題に介入していくかが議論になる。多くは,最初に問題になったテーマにより担当窓口に持ち込まれる。緊急性から健康問題が最初の入口になりやすい。しかし,そのときにはすでに問題は複雑多岐にわたり,対処は1つのポジションで完結できなくなっていることも多い。多分野での検討,連携を図りながら時間をかけてようやく解決の糸口を見いだす。そんな経験を,地域保健に従事する多くの保健師は経験している。
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