活動報告
地域主催の子育て支援事業の分析―地域の子育て教室からみる行政保健師の役割
森 礼子
1
,
後閑 容子
2
1岐阜市南市民健康センター
2摂南大学看護学部
pp.800-807
発行日 2012年9月10日
Published Date 2012/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101962
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はじめに
地域ぐるみで子どもの成長を育んでいくことは,次世代を担う子どもを育成するための重要な力になると考えられている。近年,地域コミュニティへの帰属意識が薄れてきており,地縁による人のつながりや互いに助け合い支え合う「地域の子育て力」が低下してきている傾向にあると言われている1)。核家族化が進み,現在では孤立する育児環境や育児不安から,虐待や育児ノイローゼにまで発展することもある2)。
「地域の子育て力」は,親に対する育児知識の提供や地域での見守りにより親に安心感を与え,育児不安の軽減や子育ての負担感を和らげるなど,子育て支援としての役割を幅広く果たすものと考えられる。近年では地域で世代を超えた交流によって自然に培われた「地域の子育て力」を再生させることの必要性が認識され,人とのつながりを重視し地域全体で子どもを育てる体制づくりが再び注目されてきている1)。
G市では自治会・民生委員児童委員協議会・青少年育成市民会議など,地区ごとで子育て支援を推進し,ほとんどの地区で子育て教室を開催している。その中心となっているのはすでに子育てを終えた40~50代の住民が多く,意欲的な活動を展開している。そこで今回,G市N部4地区における地域の子育て教室が,親の子育て支援のニーズに沿ったものであるか否か評価することとした。さらにその結果から,今後の行政保健師の役割としてどのような支援が求められるのかを検討した。
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