調査報告
青森県民のがん検診に関する認識と経験―胃がん・大腸がん・肺がんの検診を中心に
山崎 浩司
1
,
横山 葉子
2
,
石倉 綾子
3
,
開沼 博
4
,
梶原 葉月
5
,
佐藤 まなび
6
,
橋本 望
3
,
原田 満里子
3
,
宮崎 亮
7
,
山田 淑子
8
,
大西 基喜
9
1東京大学大学院人文社会系研究科
2京都大学大学院医学研究科
3東京大学大学院教育学研究科
4東京大学大学院情報学環・学際情報学府
5ペットラバーズミーティング
6慶応大学大学院健康マネジメント研究科
7青森県健康福祉部医療薬務課
8青森県健康福祉部保健衛生課
9青森県健康福祉部
pp.358-365
発行日 2010年4月10日
Published Date 2010/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101371
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■要旨
わが国における死因別死亡率のトップは悪性新生物(以下,がん)であり,がん死亡率は年々増加の一途にある。とくに青森県のがん死亡率は全国で最も高い。一部の先行研究では,がん検診受診とがん死亡率低下との関連が明らかになっているが,がん検診受診率は全国的に低く,青森県の受診率も全国平均を超えてはいるものの,がん死亡率低下に有効とされる50%にはほど遠い状況にある。がん検診受診率の向上は,保健行政上で重要かつ喫緊の課題といえる。
本研究では,がん検診受診の促進・阻害要因の背景にある回答者の認識や経験を質問票調査で検討した。その結果,青森県では,(1)がん検診で個人検診よりも集団検診を希望する人が多くみられたこと,(2)がん検診の勧奨経験はがん検診受診と関連がみられ,受診勧奨に保健協力員が大きな役割を果たしているのが明らかになったこと,(3)がん入院を含むがん医療に対するマイナスのイメージががん検診未受診と関連していたこと,などが明らかになった。こうした青森県民のがん検診やがん医療に関する特有の認識や経験を考慮した政策の必要性が示唆された。
今後は県内のがん患者やがんサバイバーに照準を合わせ,がん体験者としての認識や経験を語ってもらい,その語りを考察してデータベースを構築し,他のがん患者や経験者,患者家族,ケア提供者,一般市民に,アクチュアルかつ有用ながん情報を提供すべく,調査研究に着手する予定である。
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