提言
地域保健分野におけるGIS(地理情報システム)の活用
坪井 塑太郎
1
,
岡戸 順一
2
1明治大学文学部地理学教室
2日本看護協会政策企画部
pp.1122-1126
発行日 2008年12月10日
Published Date 2008/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101114
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はじめに
近年,現在地や行き先を調べるための手段として,従来からの紙地図に加え,カーナビゲーションシステムや,パソコンなどで閲覧可能なインターネット上の地図の利用が一般化しつつある。しかし,地図には場所の把握のみにとどまらず,特定のテーマを視覚的に表現し,伝達する機能も有している。
本稿は,この機能に着目し,保健師による統計情報の活用や伝達能力の向上と同時に,新たな地域診断ツールとしての視点を追加するための手段としてGIS(Geographic Information System:地理情報システム)による地図作成の利用普及を目的とする。
GISとは,地図データと属性データを一元的に扱うことにより,空間に関わるさまざまな分析や意思決定を支援するシステムの総称である。近年におけるその具体的な応用事例には,マーケティング分析や犯罪危険度マップの作成,土地利用の変遷の分析などがあげられるが,地図を今後の地域保健分野において,有効なコミュニケーションツールとして機能するものと位置づけ,「見るもの」のみにとどめず,データをもとに「見せるもの」として自作する方法を紹介する。具体的な分析事例は,都道府県を単位とし,これに関わる保健師を主対象としてデータを取り扱う。
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