連載 いま,ほんとうに必要な育児支援とは何か? 「大阪レポート」から23年目の調査が描くもの・4
乳幼児期の不適切な子育ては,キレやすい子を育てる
原田 正文
1,2
1大阪人間科学大学社会福祉学科
2こころの子育てインターねっと関西
pp.398-402
発行日 2004年4月1日
Published Date 2004/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100489
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読者のみなさんもご存じのとおり,フロイトが創始した精神分析に始まる心理学では,幼少期の体験がその人の人格を大きく左右するといわれています。私も精神科「小児・思春期」専門外来で,いろいろな事例を経験するなかで,乳幼児期の子育ての大切さを強く実感しています。
しかし,そこに科学的根拠はあるのだろうか,とあらためて考えてみると,はなはだ怪しいというか,不確かなのです。自分自身のことを振り返ってみても,わが家の息子たちに聞いてみても,小学校以前のことはほとんど憶えていないし,小学校低学年のころのことも断片的にしか思い出せません。親としては,子どもに良かれと思い,公園へ連れて行ったり,できるだけ子どもが楽しめるように過ごしてきたつもりです。多くの親も同じだろうと思います。しかし,それらのことをすっかり忘れてしまっているという事実を突きつけられると,ほんとうに幼少期の体験は大事なのか,と疑いたくなったり,がっかりする親も多いのではないでしょうか。今回はそのあたりのことを考えます。
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