連載 BOOKS
―暴力被害者と出会うあなたへ DVと看護―女性と子どもの命,人権を真剣に考えている保健師必読
徳永 雅子
1
1徳永家族問題相談室
pp.572
発行日 2006年7月1日
Published Date 2006/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100392
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本書は,看護師による医療看護職のためのドメスティックバイオレンス(DV)の指南書である。DVの定義から始まり,なぜDVが公衆衛生の課題なのか,その病理性の問題によって安全に保護する難しさがあることや日常の看護ケアのなかで被害に気づくことの重要性,および援助過程について,事例を交えながら展開しているので,実践の場でも活用できると思われる。
被害者(バタードウーマン)は,自ら「夫から殴られた」とは語らない。青アザや骨折などで受診してきても実情にはふたをして相手をかばい,責任は自分にあると言う。そのとき医療看護職はどう気づき,何を伝え,どう聞き取りをすればいいのか,医療や保健の現場では,知識と感性そして経験も要求される。危険を察知する感性が高くないと被害者の相談や救出はできない。またDV相談には油断と安易なアセスメントも許されない。相談を受ける側も心身ともに健康でなければと思う。本書では,その点を医療機関としてできること,援助者の二次被害防止,燃えつき症候群にならないような暴力との向き合い方の注意点など参考になる記述も盛り込まれている。
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