教育のひろば
“チョット一言少なすぎる”
杉溪 一言
1
1日本女子大学家政学部児童学科
pp.5
発行日 1967年10月1日
Published Date 1967/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908865
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第二次大戦中の話である。ある晴れた日にメキシコ湾上で航空射撃の訓練が行なわれていた。参加した練習生にとっては初めての経験なので,塔乗する小型機が不安で仕方がない。
もしかしたら落ちるのでは……という恐怖感にしめつけられながら,彼はからだをこわばらせていた。一方,指導者のパイロットは快適な飛行を楽しんでいたが,フト下方を見ると快速艇が海上に白い波を尾のように引きながら走っている。「ホラ,見たまえ,美しいながめじゃないか」,彼はそういうつもりで下方を指さした。そのトタン,うしろにいた練習生は「来るべきときが来た!」と直感し,やにわにパラシュートで飛び降りてしまったのであった—。
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