私の発言
生命の流れの中で
藤腹 明子
1
1滋賀県立短期大学看護部
pp.593-596
発行日 1977年10月25日
Published Date 1977/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907138
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病院実習を前にして
夏が近づくと,今年もまた学生たちの病院実習が始まります.複雑な人間関係の中で,生や死が交錯する中で,看護者になることを目指して励む彼女たちは,何を学び,何を見つめ,何を問いかけてくれるのでしょう.彼女たちとともに学ぶ者として,そういうことを考えずにおられません.
現代の医療の場は,生と死との直接的触れ合いを一手に引き受けています.1人1人の人間が日常の中ではあまり語らずに過ごしている人間の誕生や死という個人の体験に,私たちは毎日直接的に対峙(たいじ)していかなければなりません.自然に生まれ,自然に死んでゆくことが,本来の人間の姿であった古代や中世の時代に比べると,科学の発達した現代社会は,人間の生命に対て,様々の新しい問題を投げかけています.
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