特集 第16回看護教育研究会夏期講習会のすべて
看護教育研究会 第16回夏期講習会
Ⅳ 医療と社会
奥田 道大
1
1東洋大
pp.25-31
発行日 1966年9月1日
Published Date 1966/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905700
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.「医療と社会」というわたくしへの課題は,医療と社会とのかかわりぐあいを,内外の調査資料をとおして明らかにするところに,主たる意図があるように,うけたまわっています。医療を社会的背景においてとらえることの必要はあらためて説くまでもありませんが,医療社会学(medicalsociology)という研究分野まで発達している米国では,医療そのものが社会的事象であるという認識が支配的のようです。この認識にたつと,“医療”と“社会”がとの接続詞をとおしてむすばれる,二つの別個の領域とは考えられないかもしれません。“医療”という語を辞書でひくと「医師にみてもらって病気をなおすこと」との説明が付されています。医療を,患者が「医師にみてもらって病気をなおすこと」の意味に狭くかぎったとしても,そこには,患者が医師にみてもらうという受診,病気をなおすという治療,受診・治療をとおしてむすばれる患者と医師との人間関係,この人間関係のいとなまれる場としての施設の問題など,ひとつひとつが社会学の課題にもなりうるものです。
Copyright © 1966, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.