特集 現代の家族―神話を超えて
HIV感染者のケアサポートからみた家族
市橋 恵子
1,2
1訪問看護ステーション堂山
2HIV/AIDS看護研究会
pp.612-617
発行日 2002年9月25日
Published Date 2002/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903892
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
「僕に喪主挨拶をさせてもらえるよう,親族の方に一緒にお願いしてください」エイズを発症して亡くなったクライエントのパートナーが,葬式の準備を手伝っていた私に懇願してきた.まだ抗HIV薬の多剤併用療法(HAART)が始まる1996年以前の話である.
当時私はHIV感染者 エイズ患者を直接ケアするボランティア団体で,ナースとして活動していた.親族にも職場にも本当の病名と彼のセクシュアリティ(男性同性愛者=ゲイであるということ)は伏されており,当然のようにエイズボランティアであるという私の身分は隠され,私はこのパートナーの姉という設定でケアに参加していた.「今さらそんな騒ぎを起こさなくても……」とためらう私に,彼は「僕が喪主挨拶をするということは,二人にとっては結婚式みたいなものなのです」といった.
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.