特集 私学における看護教育の課題と展望―日本私立看護大学協会結成20周年記念シンポジウム
看護教育のめざすもの
吉武 香代子
1
1東京慈恵会医科大学医学部看護学科
pp.180-183
発行日 1996年3月25日
Published Date 1996/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901328
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看護婦不足の声を絶え間なく聞き続ける中で,私たちは看護婦をどれだけ増産しても無限の需要が続くような錯覚におちいっていたのではないかと思います.しかしここに来て社会情勢は大きく変わり,社会一般,特に女子の就職難の反映として,看護婦の需給状況は大きく変化しています.現職の看護婦は,現在の職場を離れたら次の職場を得るのは容易ではないことを敏感に感じとり,かつてのような安易な離職の流れは急停止したというのが現状です.大量の離職を見込んでの大量養成計画による新卒看護婦はいま,思いもかけなかった需要の変化にとまどっているのが実状のようです.
本協会は私学関係者の集まりである関係から,国公立の看護教育施設および国公立病院の看護婦需給状況については必ずしも身近な話題ではなかったかと思われますが,特に大都市を除く地方の中小都市にあっては,新卒看護婦の就職が容易でなかったことはかなり以前から知られていました.私は20年以上前から看護婦の過剰供給への警告を発してきましたが,ここに来てようやく私の予期していたことが現実になったという気がしています.
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