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はじめに
中部看護専門学校(以下、本校)は医療法人が設置母体の3年課程全日制の看護専門学校であり、1学年定員40名の小規模な学校である。入学直後から「看護学概論」「看護援助論」などの授業が開始され、1年生の夏休み前には初めての技術演習としてベッドメーキング、リネン交換、環境整備を実施している。
新型コロナウイルス感染症は一向に収束する気配もなく、いまだ感染者数が増加し続けている(本稿執筆時点)。このため、感染症拡大防止の観点から、さまざまな制約をせざるを得ない教育機関も多いと思われる。しかし、どのような状況下にあっても、教育の質を担保することは重要である。本校のような小規模な民間の看護専門学校においても、オンライン授業の導入や講堂(一般教室の2倍ほどの広さ)での対面授業など、状況に合わせ対応をしている。
そのなかでも特に苦労したのが、科目「看護援助論」での技術演習であった。実践的な職業教育の場である看護専門学校において、技術教育の絶好の機会となる技術演習は、とても重要な授業の1つであると考えている。これまでも「看護援助論」の授業では、テキストに掲載されている2次元バーコード(QRコード®)で提示されている技術の動画の活用を積極的に促していた。しかし、当初本校では教室のWi-Fi(無線LAN)環境が整っておらず、利用不能な学生が存在していた。このため、教育の公平性を考慮し、イラスト入りの資料を配付するなどで対応していた。
しかし、技術教育においては、動画のほうが一連の流れや動きがイメージしやすく、理解が深まるとされており、動画は何度でも必要な箇所の視聴ができるというメリットがある1)とも言われている。そこで、よりイメージが湧きやすく、親しみがあり、学生が模倣したくなるような動画によって学習効果を高めようと考え、動画教材の作製に着手することにした。
自作動画教材の一部完成を受け、早速この教材を用いて授業などを実施したところ、一定の効果が得られたと同時に、課題も見つけることができたので報告する。
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