連載 NとEとLGBTQ・10
多様な性についての教育の大切さ
浅沼 智也
pp.65
発行日 2019年1月25日
Published Date 2019/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201163
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すでによく知られていますが、LGBT当事者は日本全人口の約7.6%1)いるという統計結果が出ています。ということは看護学校や医療機関のなかにも当事者がいる可能性はかなり高いわけです。自分の周りには当事者はいないと思っている人も少なくありませんが、学校や職場、友人・知人の付き合いのなかで、本当は誰もがすでに当事者に接しているといえるでしょう。ですので、自分の周りにいないと感じるのは、当事者がカミングアウトしていないから、あるいは差別や偏見に恐れて言えない状況にあるからであり、当事者が実際にいないからではないと理解することがまずは重要です。
医療者に知っておいてもらいたいのは、LGBT当事者が直面する問題は、ライフステージや性自認・性的指向により異なること、問題が重症化していくと自殺リスクも高くなること、直面する困難自体が性別規範と密接しており、日々の社会生活のなかで目に見えにくく、血縁など周囲の人に頼れないことなど、多岐にわたります。だからこそ、看護学生時代から多様な性に注目してもらう必要があると考えます。学生の頃から多様な性についての教育を受け知識として知っていれば、臨床現場に出たときにLGBT当事者と良好な関係を築きやすいですし、適切な配慮や対応が早期にできます。
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