連載 「配慮が必要な学生」の学びにつなげる対応 臨地実習における教育上の調整を考える・8
極端に食事量が少なかったり,過食と嘔吐を繰り返す学生への対応
松岡 千代
1
1佛教大学保健医療技術学部看護学科
pp.698-703
発行日 2017年8月25日
Published Date 2017/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200817
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臨地実習では,学生は対象者や家族,臨床指導者や看護師スタッフなどさまざまな人たちとのかかわりのなかで,自己の考えや意見をきちんと伝えながら実習を進めていくことが求められます。しかし,今回取り上げるような特徴をもつ学生は,周囲に合わせて自己主張をすることや,本心を他者に伝えることが苦手で,他者の意見や意志に流されてしまう傾向があります。臨地実習では,これまでの講義・演習において自分なりに努力をしてきたやり方やルールは通用せず,思うように良い結果を出すことができずに,自己のコントロールを失いがちです。そして心理的なバランスを保とうとして,食べ物を過剰に摂取したり,その一方で食べたことへの罪悪感と嫌悪感から嘔吐を繰り返すということが起こりがちです1)。
一見して病的に痩せており,何らかの医療的対処が必要である学生については,臨地実習での身体的・精神的なストレスを乗り越えていくことが難しく,身体状況によっては,学業の継続自体が困難で,入院加療を勧めることもあるでしょう。しかし,以下の事例のような学生の場合,見た目には体重が維持されていて,摂食上の問題がわかりにくく,結果的に対処が遅れるときもあります。
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