連載 「書く力」で“ステキな看護師”をつくろう 初年次から始められること・9
聞き手を意識した報告の仕方
松岡 志帆
1
1東京女子医科大学看護学部
pp.1062-1065
発行日 2012年12月25日
Published Date 2012/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102271
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はじめに
近年,より質の高い,安心・安全な医療を求める患者・家族の声の高まりと,医療の高度化・複雑化に伴う業務の増大を背景に,医療現場では「チーム医療」が実践されている。チーム医療とは,「医療に従事する多種多様な医療スタッフが,各々の高い専門性を前提に,目的と情報を共有し,業務を分担しつつも互いに連携・補完し合い,患者の状況に的確に対応した医療を提供すること」と一般的に理解されている。
チーム医療を円滑に実践するためには,医療スタッフ間の連携が欠かせない。医療スタッフ間で,正しく情報を整理,確認,判断して効率的に仕事を進めるためには,「報告・連絡・相談」をスムーズに行うことが重要である。特に,看護師は,診察・治療などに関連する業務から患者の療養生活の支援に至るまで幅広い業務を担い得ることから,「チーム医療のキーパーソン」として寄せられる期待は大きい。すなわち,医療現場において,適切な質と量を兼ね備えた「報告・連絡・相談」のスキルが看護師には,求められているといえる。
しかしながら,これらのスキルを急に発展させる方法は考えにくい。そのため,看護学生に対する教育の一部として取り組むべき課題と考えることもできる。そこで,われわれは,「報告・連絡・相談」のなかから,特に「報告」に焦点をあて,初年次の学生に対して「聞き手を意識した報告の仕方」に関する授業を実施した。本稿では,この授業内容と授業を聴講した学生の反応を報告し,看護学生の「報告の仕方」と「書くこと」のつながり,さらには“ステキな看護師”について検討したい。
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