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書評 ―『フィジカルアセスメントガイドブック第2版 目と耳でここまでわかる』―日本におけるフィジカルアセスメントのスタンダードとして
水戸 優子
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1神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部看護学科
pp.319
発行日 2012年4月25日
Published Date 2012/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102056
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フィジカルアセスメントは,1990年代後半にアメリカから日本に入り,普及してきた知識と技術といえます。私もこの時期にアメリカへ研修に行く機会を得て,その後,学生たちにフィジカルアセスメントを教えるようになりました。ところが,何年かやっているうちに,アメリカでのフィジカルアセスメントの知識・技術の枠組みでは,日本の臨床現場や看護基礎教育にフィットせず,学生たちに身に付いていない印象を受けました。そして,それはアメリカと日本で,看護師に求められるアセスメント能力の質の差があるためではないかと思いました。
アメリカでは,ナース・プラクティショナーが,患者の全身状態を系統的にアセスメントし,スクリーニングするためにフィジカルアセスメント能力が求められています。一方,日本の看護師は,病院あるいは在宅看護のなかで,その患者の年齢や生活環境,既往歴を踏まえて,症状や徴侯などの少しのサインから病状の緊急性や疾患を見抜き,早急に必要な処置・ケアにつなげる能力が求められているように思います。つまり,日本の医療・看護の場面では,「幅広く・浅い」フィジカルアセスメント能力ではなく,「厳選して・深く」アセスメントする能力が必要なのです。
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