特集 私はこうして学生と向き合ってきた─日々出会うさまざまな悩み
学内講義における教育・学習編
学生がほとんど経験したことのない,しかし重要なこと(倫理観)を講義で教授したいとき
高島 尚美
1
1東京慈恵会医科大学医学部看護学科
pp.92-94
発行日 2012年2月25日
Published Date 2012/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101986
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お悩み 看護師にとって「倫理観」をもつことは患者擁護として重要なことであるが,学生にどのようにそれを学んでもらうかは難しいと感じている。たとえば,臨地実習でこんなことがあった。脳血管疾患のある患者が合併症で悪化傾向にあるとき,家族はもう治療をやめてほしいと思っているが,それを言えずに苦悩している。看護師として患者と家族を擁護することを学生に教えなければならないが,学生はこれまでの人生のなかで,このような究極の状況を経験したことはなく,同じ場所に居るだけでも辛くなってしまう。
他にも抑制をしている状況,外来で他の患者と医師とのやりとりが聞こえてしまう状況,等々あらゆる状況に倫理的な課題は存在している。実習場面だけでなく,学内での講義から倫理観を高める授業が必要だと考えるが,それをどのように教授していったらいいのか悩むところである。みなさんはどのような工夫をしているだろうか。
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