看護教育研究
変化する外来看護システム―2施設の取り組みから
大津 佐知江
1
,
草間 朋子
2
1大分県立看護科学大学大学院看護学研究科博士後期課程
2大分県立看護科学大学広域看護学講座保健管理学
pp.602-607
発行日 2007年7月25日
Published Date 2007/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100709
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緒言
病院でのケアは外来受診に始まり外来受診に終わる。しかし,これまでの医療は入院患者を中心として構成されており,それに伴い看護業務の改善なども病棟中心に行われてきた。このようななかで,外来看護師に求められる役割は,診療を円滑に実施するための診療の補助行為が大部分を占め1),事務的業務を効率的に終え,患者の待ち時間をいかに短縮するかが求められてきた2)。さらに,看護師としての本来の業務以外の業務も行われており,一口に外来看護業務といっても医療機関によってかなりの違いがあるといわれている3)。また,国内外を問わず,外来看護に関連した報告等はきわめて少ないというのが現状である。
一方,昨今の外来受診者の状況は多様化してきた。医療制度の改革に伴って,従来であれば入院して行われていた侵襲性の高い手術・処置を受ける患者,疾患の急性期からほどなく退院した患者,在宅医療が必要な慢性疾患患者など,医療依存度の高い患者が外来には増加しており4),外来看護師には,このような医療環境の変化に対応する役割が求められている。したがって,外来看護師の役割の見直し・改善は,看護能力のスキルアップを図ると同時に,社会に対して看護師の役割を明確化するうえでも重要であると考える。
本研究は,新しい時代の外来看護をめざして,外来看護の改善に向けた取り組みを実施している2つの施設を対象に調査し,その施設における外来看護の実態および課題を把握し,今後の外来看護のあり方を検討するための基礎データとすることを目的とする。
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