特集 当事者に学ぶ
古書「パラメディカ」の世界―星野史雄氏にきく
pp.356-357
発行日 2004年5月1日
Published Date 2004/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100397
- 有料閲覧
- 文献概要
――たくさんの闘病記を読まれてきたかと思うのですが,特に感銘を受けた本,印象に残っている本はありますか。
星野 僕は黒子に徹しているので,僕自身が読んで感銘を受けることもありますが,やはり患者さんが必死で探している本を見つけたことが印象に残ります。さんざん探して,ようやく見つけた本というのは,どこで,いくらで手に入れたか覚えているんですよ。だから,そういう本のほうが印象に残ってますね。
――闘病記も様々ですが,病に苦しむ誰にでも「こういうライフヒストリーをたどってきたのか」とわかりやすく読みとれるのが,いい闘病記ということになりますか。
星野 読む人によっていい闘病記というのは違ってくると思います。大学の理系の先生が書いた闘病記があって,奥様ががんなのですが,理詰めで真面目に考え,民間療法も含めて効きそうな治療法を全部試し,データも残しているという闘病記があるんです。医療分野の治療についてのデータもあり,玄米食についても,どう試したということが全部書いてある。つまり自分が患者になったらやりそうなことが,全部そこにデータとして載ってるわけです。そういうもののほうが,読む人によってはいい,ということもあるでしょう。
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.