連載 教え,伝える現場・7
鳥の目で世界を見てみたい―多胡光純さん
永井 祐子
pp.545-549
発行日 2006年7月1日
Published Date 2006/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100313
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タクラマカン砂漠の砂は,粒が細かく,風によって動き流れ出す。面積は風次第で変わるといわれている。およそ35万平方キロメートル。これは日本の全面積に近い。広大な砂の海が果てしなく続いている。
タクラマカン砂漠に道を造るという構想は,砂漠の奥地の石油や天然ガスを探索する目的で始まった。1984年,砂漠北部で相次いで石油が噴出したことをきっかけに人々の注目はさらなる奥地へと向かった。しかし,探索機器を輸送する手段がない。砂漠を走る輸入車両は1台100万元(1元:約15円)もする高価なものだった。作業員や物資運搬にヘリコプターを利用したがこれにも限界があった。砂を盛り集めてデニムの布で覆い,その上をアスファルトで固める工法が開発され,砂漠を南北に貫くハイウェイ計画がたてられた。そして10年後の2000年にハイウェイはようやく完成した。
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