連載 白金台365歩のマーチ—国立公衆衛生院看護コース研修生の素顔 番外編・4
七転八倒 金沢の主夫の鉄人
ゆたに ますお
pp.82-83
発行日 1996年1月10日
Published Date 1996/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902820
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私の記憶が確かならば,「あのね」と妻が切り出したのは雪の舞う1月,それも年明け早々の頃だった。国立公衆衛生院に行きたいと言う妻の言葉に,おトソ気分もさめやらぬ私はいつもの調子で「いーやん,いーやん。行ってきたら」とかるーくふたつ返事したのだった。いつもならばそんな私の軽口に顔をしかめ,「また考えもなしに軽はずみなことをいう」とたしなめるはずの妻の反応が,なぜかこの日ばかりは違っていた。なんと,こぼれんばかりの笑顔で「ありがとう」と答えたのだった。その表情を見て私は確信した。「妻は本気だ」。そしてそっと尋ねた。「ところでコクリツコーシューエーセーインって,どこにあんの?」。
それが私のクレイマークレイマー生活の始まりだった。さあ,よみがえるがいい,アイアン・ダーリン!七転八倒の365日!
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