連載 ニュースウォーク・43
自殺3万人時代はつらい
白井 正夫
1
1元朝日新聞編集
pp.814-815
発行日 2001年10月10日
Published Date 2001/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902503
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
朝8時すぎに駅へ向かうのが習慣だったのに,月曜日は8時前に家を出るようになった。横浜から東京への通勤電車が,月曜日の朝によく遅れるからだ。そんな朝に限って,ホームに立つと「○○駅の人身事故でご迷惑をかけて……」という放送が流れる。電車の遅れは我慢すればいい。でも「自殺事故」の案内放送を聞くのはつらい。
1年ほど前,東京都内のJR中央線の駅で,ホーム前後の先端を明るく照らすというニュースがあった。目も届きにくい所を明るくすれば,死を急ぐ人の気持ちを思いとどめることができるのではないか,という試みだった。当時,JRが自殺防止策に取り組まねばならないほど事故が日常化していた。
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.