活動報告
多胎児子育て支援事業「ツインズクラブ」育成とわたしたちのまちの子育て支援
島野 由紀子
1
,
内田 美音子
1
,
堀 千波
2
,
中谷 圭子
2
,
原 和子
3
,
村田 則子
4
,
毛利 淳子
5
,
神園 久子
6
1横須賀市南健康福祉センター
2横須賀市健康福祉部長寿社会課
3横須賀市西健康福祉センター
4横須賀市中央健康福祉センター
5横須賀市北健康福祉センター
6横須賀市保健所
pp.50-54
発行日 2001年1月10日
Published Date 2001/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902379
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
近年,不妊治療の発達や周産期医療,小児医療の進歩から,多胎児の出生が増加している。日本全国の人口動態統計によると,多胎児出産は昭和49年から上昇し始め昭和60年以降は急上昇している。平成7年には,出産千対8.6で10年前の約1.5倍になっている。当管内においても,多胎児出生数は増加の傾向にある。
多胎児は単胎児に比し,被虐待児となる危険性が高い1)といわれている。また,低体重出生の傾向がみられ,双子,三つ子を育てることに加えて低体重児であるがゆえの育てづらさもある。さらに,地域社会の人間関係が希薄であることから育児環境が孤立化し,母親は多くのストレスを抱えている。
出生届から多胎児の出生が増加していることは認識しており,日常の乳幼児健康診査や家庭訪問から多胎児の育児の困難さは理解していたが,平成9年に経験した2事例が,多胎児の子育て支援に取り組む大きなきっかけとなった。
A事例は,「双子の育児の負担が重く,虐待をしている。虐待を繰り返さないためカウンセリングを受けているが,悩みを話し合える仲間がほしい」と保健婦に訴えるものであった。
B事例は,高層マンションに住み双子を育てている母親が,「泣きやまない子を15階の窓から投げ落としたい衝動に駆られることがあり,いつか本当に投げ落としてしまうのではないか」と不安を訴えるものであった。
このことから母子担当保健婦を中心に対策を検討し,すでに実施している子育て環境づくり支援事業の重点課題として,多胎児の子育て自助グループ「ツインズクラブ」を結成・育成し,育児支援とあわせて地域の子育て環境の強化を試みた。
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.