調査報告
横浜市デイサービス施設における疥癬などの発生状況と意識調査
土田 賢一
1
,
水嶋 春朔
2
1横浜市衛生研究所
2横浜市立大学医学部公衆衛生学教室
pp.323-327
発行日 2000年4月10日
Published Date 2000/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902175
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要約
近年,老人病院や老人ホームなどの老人施設を中心に疥癬などの感染症の集団発生が多数報告されている。今回,デイサービス施設での疥癬などの感染症の発生状況と職員の疥癬に対する意識調査を目的に,アンケート調査を行った。横浜市内のデイサービス施設41か所に勤務する看護職員と介護職員64人を対象とした。患者発生があったと回答した感染症としては,疥癬が最も多く22施設(53.7%)で,次はインフルエンザが13施設(31.7%)などであった。集団発生があったと回答した感染症は,疥癬が5施設(12.2%),インフルエンザが3施設(7.3%)などであった。疥癬に使用した治療薬としては,クロタミトンと硫黄剤との回答が最も多かったが,国内で使用が禁止されているγ-BHCも5施設(22.7%)で使用されていた。
疥癬に対するイメージは,全職員では28人(43.8%)が「恐ろしい病気」と回答していたが,看護職に限ると「単にうっとうしい」が最も多く職種により差が見られた。今回の調査では感染症の集団発生があったとするデイサービスの施設は10施設(24.4%)であった。基礎疾患などを持つ虚弱老人や痴呆老人などが多数利用するデイサービス施設では,感染症患者が出ると集団発生につながる可能性が高い。集団発生の予防には,職員間の協力が必要であり,特に職員の感染症に関する知識の充実と認識の共有の重要性が示唆された。
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