連載 ジェンダーの視点から地域・生活を考える・7
なぜ子どもが欲しいのか:不妊治療とジェンダー
柘植 あつみ
1
1北海道医療大学基礎教育部
pp.578-581
発行日 1996年7月10日
Published Date 1996/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901390
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「本能 vs 社会的圧力」を越える
不妊治療を実施している産婦人科医への聞き取り調査1)を行っている際に,「女性が子どもを欲するのは母性本能である」という言葉に何度か接した。この後に「だからこそ,不妊女性の切なる願いをかなえるために,不妊治療が必要である」と続く。もちろん,このように母性本能を明言した人は稀であるが,50歳代以上の男性にこのような考えが少なくなかった。
その対極にあるのが,「女性が不妊治療を受けるのは,子どもを産めという社会的圧力による」という言葉である。私が不妊治療を受けている女性に聞き取り調査をしていると説明すると,不妊の非当事者である30歳代,40歳代の女性からこの言葉を何度か聞いた。
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