連載 ジェンダーの視点から地域・生活を考える・6
科学・医学におけるジェンダー
柘植 あづみ
1
1北海道医療大学
pp.496-499
発行日 1996年6月10日
Published Date 1996/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901376
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出産祝のベビー服を求めようと売り場で迷っていると,店員さんに「男のお子さんですか,女のお子さんですか」と尋ねられる。そして女児ならピンク,男児なら水色のものを奨められる。やっと違う色の物を買って,お見舞いに産科を訪ね,新生児室をのぞくと,ここでもまた女児ならピンクの名札,男児なら水色の名札にお目にかかる。
もちろん,女児に水色,男児にピンクの洋服を着せて名札の色を変えたとしても,男と女の関係性はなんら変化するものでもない。記号を取り替えることに意味があるわけではない。しかし,当たり前だと思っていることを,いったん疑ってみるという行為には意味がある。セックス(sex:生物学的な性差)とジェンダー(gender:社会的・文化的性差)を分けて考えるのは,生物学的な男女差であると思われていたことに,社会的・文化的に形成されたものではないかという疑義を呈する作業だと言ってもよいだろう。
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