発言席
キーワードはエンパワーメント—第4回世界女性会議NGOフォーラムに参加して
萩原 なつ子
1
1東横学園女子短期大学
pp.929
発行日 1995年12月10日
Published Date 1995/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901259
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“平等・開発・平和”をスローガンに,メキシコで初めての国連の世界女性会議が開かれたのは1975年。10年後のナイロビ会議では「西暦2000年に向けて女性の地位向上をめざす将来戦略」が採択された。しかし現在でもなお,世界中で男女格差の解消は現実のものとはなってはいない。日本でも女子学生の“超氷河期”の就職難,男女賃金格差など,あらゆる分野において問題が山積している。今回アジア(北京)で初めて開催された第4回国連世界女性会議では,「結果の平等」「実質的平等」のための「行動」が強調され,12の「行動綱領」の重大問題領域(①女性と貧困,②女性の教育と訓練,③女性と健康,④女性に対する暴力,⑤女性と武力紛争,⑥女性と経済,⑦権力および意思決定における女性,⑧女性の地位向上のための制度的な仕組み,⑨女性の人権,⑩女性とメディア,⑪女性と環境,⑫少女)が設けられた。そして女性のエンパワーメントと人権,女性と男性,NGOと政府,国を越えたパートナーシップを柱に,9月4日から「政府間会議」が開かれた。
それに先立ち8月30日からは「NGO(非政府組織)フォーラム」がスタートした。数か月前に会場が北京市内から50キロ離れた懐柔県に変更されたNGOフォーラムへは,毎朝バスで2時間かけて通った。しかも連日の雨模様。おまけにプログラムが手に入らず,テーマと時間と場所を探すのに一苦労。テント会場は,風雨で吹き飛ばされたり,倒れたり。その横には壁のない未完成の建物。今回のNGOフォーラムをめぐる中国政府の混乱ぶりを象徴しているようだった。
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