発言席
「老いに関わる保健婦全国よりあい」第1回大会開催を目ざして
猿山 悦子
1
1栃木老人の生活ケアを考える会
pp.761
発行日 1994年10月10日
Published Date 1994/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901003
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全国の自治体では,老人保健福祉計画が策定され,実施段階に入っています。老人を取り巻く状況は,ゴールドプランや寝たきりゼロ作戦,老人保健福祉計画の策定により,呆けや寝たきりになっても安心して生活できることをめざしていますが,実態はどうでしょう。たとえば寝たきりゼロ作戦を推進する立場の保健婦は,なぜ寝たきりが悪いのか,起こしてどうするのかを考えて取り組んでいるでしょうか。施設と人の充実は大切だが,それだけで老人は人間らしさを失わず,安心して人生の最後を迎えられるでしょうか。
「呆けている年寄りを家で看るのは大変だったけど,寝たきりになったのでおむつを換え,時間がくると食べさせればいいから,手がかからなくなり楽になったの。今更起こさなくても……」「寝たきりになってまで生きていたくないわね」という声さえ家族から聞かれる。この言葉から住民の老人観・人間観の貧しさと,私たち専門職の働きかけの不十分さを感じています。
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