特集 老人保健福祉計画と保健婦の関わり
老人保健福祉計画と保健婦活動—ちょっと待てよ?!
前田 孝弘
1
1東京都豊島区池袋保健所
pp.995-999
発行日 1993年11月10日
Published Date 1993/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900821
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ちょっと待てよ
カラフルで立派な老人保健福祉計画ができあがり,「生き生きとした老後」「安全・安心の確保」など,きらびやかな文句がちりばめられている。しかし計画を論議している膝もとで行われている「寝たきり老人対応スタッフミーティング」で,調査訪問の報告をした保健婦は「まるで時代から取り残された別世界のようだった」と結んだ。「もう治療することはないから,病院には置けない。家で面倒見て下さい。緊急対応はしますから」と主治医に告げられた年老いた介護者は,「そうしたら私が先に死ぬ」とつぶやいた。
ある日ヘルパーは「こんにちは」と訪れた家で,意識朦朧,息も絶え絶えの老人が1人で倒れているのをみつけて,救急車を呼んだ。そんな新聞記事になるかならぬか瀬戸際の状態が広がっている。この現実と計画の中の美辞麗句とのギャップに,釈然としない感じが残る。ちょっと待てよと。本当にこんなきれいごと言ってしまって,10年後に責任とれるか。
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