特集 公衆衛生はどう変わるか—保健所法改定を機に
公衆衛生活動と健康基本法
岩永 俊博
1
,
星 旦二
2
1国立公衆衛生院疫学部
2国立公衆衛生院公衆衛生行政学部
pp.859-863
発行日 1993年10月25日
Published Date 1993/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900778
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「保健所のあり方も含めた地域保健の見直し」といわれている。非常に重要なことである。乳児の死亡や結核,急性感染症による死亡は減少し,それに代わって成人病の増加や育児不安,難病,精神保健,身体の機能障害や痴呆を持った老人などが問題となり,さらに最近では,HIV感染やATL,B型肝炎などの重篤な状態への移行の危険性を持った感染症や,働き過ぎや過労死などの労働衛生などが健康を取り巻く問題として焦点が当てられてきた。また,医療機関や保険制度の充実,交通手段の変化,健康に関する情報の多様化など,時代は急速に大きく変化している。そこで,保健所のあり方も含め,総合的に地域保健を見直そうということである。
そのような背景では,公衆衛生活動の「しくみ」を時代にあったものにしていくことはもちろんであるが,それと同時に活動の方法論も変化しなければならない。時代にあった「しくみ」や「方法論」とは,今がこうだからとか,今このような問題があるからという理由で,単に目に見えた問題点を捉えるのではなく,一方では,本来の公衆衛生のあり方を視野にいれた変革を目指さなければ,変革の方向性を見失うことになる。
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