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宇都宮市保健センターの平成4年度の来所者数は,1日平均約670人。土・日曜日も開館しているので,日曜だけの平均来所者数なら870人以上である。驚異的な数字だが,その理由は保健センターの立地条件にある。同センターは,JR宇都宮駅から徒歩1分のロビンソンデパートの9階にあり,宇都宮市の主要な交通機関となっているバスのターミナルも駅とデパートの間にあるという,市内交通の中心に位置している。しかも,ビルの地下1階から7階までが百貨店,8階がレストラン,10階が映画館とフィットネス・ジムと,買い物や映画のついでに来館して,4名の保健婦や栄養士,運動指導員,歯科衛生士らによる保健指導や健康教室を受けられる。そのためか,検診や教室のお知らせを市の広報で流すとすぐ定員になってしまうので,「断り上手でないと,ここの職員になれない」という冗談もあるようだ。
もう1つの理由は“ふれあい広場”。専用面積3800m2と保健センターはとても広いが,その1/4を占める“ふれあい広場”が同センターの目玉である。エレベーターの扉が開くと,目の前には曲線を基調にレイアウトされたカラフルな機器が照明に光輝く“ふれあい広場”の不思議な空間。お固いイメージの保健センターというより近未来空間の趣さえある。ここにコンピュータ端末画面の「健康生活チェックコーナー」「食事・栄養チェックコーナー」「健康Q&Aコーナー」やペダルを踏むと画面の風景が動き,速度と消費カロリーも表示する「サイクリングチャレンジコーナー」,「体力測定コーナー」などの機器が並び,誰でも自由に利用できる。広場の利用者の36%が市民以外であることからも,保健センターに特に用がなく立ち寄った人が気軽に利用していることが想像される。また,健康まつりなどのイベント展示にもこのスペースは有効に使われている。
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