連載 保健婦日記・6
段差のない社会
神谷 栄子
1
1茨城県つくば市
pp.390-391
発行日 1992年5月10日
Published Date 1992/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900484
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ドアの鍵を外して
Mさんの家のドアの鍵は外してある。いつでも外から救いの手が届くように。
町営住宅に二人で暮らし、身体障害者一級の手帳を持っている。六畳間と四畳半、狭い台所の奥に、トイレ、風呂が見える。昭和十二年生まれのMさんの身長は、小学校五年生くらいのもの、手先、足先が常にしびれているので這ってトイレの前まで進み、壁に捕まって立ち上がる。
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