特集 看護マンパワーと展望
“寝たきりゼロ作戦”と看護マンパワー
野村 陽子
1
1厚生省健康政策局看護課
pp.194-199
発行日 1992年3月10日
Published Date 1992/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900443
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はじめに
寝たきりゼロ作戦は,1988年に老人保健福祉部長の肝入りで設置された「寝たきり老人の現状分析並びに諸外国との比較に関する研究班」(座長/竹中浩治社会福祉・医療事業団副理事長)の報告が基となって,立案された施策である。この研究を行なうきっかけとなったことは,高齢者対策の重要な課題が寝たきり老人対策であったが,その寝たきり老人が北欧にはいない,というマスコミや専門家等による報告があり,日本になぜ寝たきり老人が多いのか,それは事実か,改善すべき点は何かという問題意識が高まっていたという背景があった。
わが国の寝たきり老人に対する施策は,1969年より“寝たきり老人手当て”として福祉サイドから始まり,その後,寝たきり老人が社会問題化し,解決策として総合的な施策を実施する必要に迫られ,1982年に老人保健法が制定された。それ以降,在宅老人福祉施策および老人医療の充実,そして保健事業として機能訓練や訪問指導が行なわれてきたが,これまでの対策はどちらかと言えば福祉的なものであった。この方向を予防へと明快に転換させるきっかけとなったのは,この研究班報告であり,その成果を“寝たきりゼロ作戦”として,高齢者保健福祉推進十か年戦略の具体的施策の1つに盛り込んだことであろう。
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