研究
在宅慢性閉塞性呼吸器疾患(公害病認定)患者の保健指導のあり方についての検討[1]
杉浦 芳子
1
,
佐野 久子
2
,
青山 三男
3
1神奈川県川崎市市民局
2神奈川県川崎市幸保健所日吉分室
3神奈川県川崎赤十字血液センター
pp.72-79
発行日 1992年1月10日
Published Date 1992/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900416
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
1986,87年に実施した「在宅公害患者のメディケアに関する研究」の中の「患者の療養生活実態調査」1)において,積極的な療養生活と緊急時の不安,家族の健康問題,家族との人間関係,隣人,友人との人間関係,余暇の活用などと強い相関関係が認められ,療養生活状況が比較的良好な患者がいる反面,種々の問題点を併せて抱えている患者の存在があること,健康づくりの面では特に運動に対しては,発作の不安から消極的であることが明らかとなった。
また同研究「保健指導の課題の研究」2)で事例検討した結果,保健指導の視点は疾病についての症状の軽減法や緊急時の対応,そのための鍛練や呼吸法,生活の工夫について重点がおかれ,その点では一定の成果がみられたが,日常生活における健康づくり,生活の質の向上など,トータルな保健指導の視点が少ない傾向がみられた。さらに,現在の生活を主観的に快適と感じているかどうかが,セルフケアに最も関係があることも明らかとなった。保健指導に際して,患者の生活の質に着目したセルフケアに関わるアセスメントの視点を明らかにする必要があると考える。
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.