連載 今,あらためて保健婦活動のあり方を考える・2
地域ぐるみの在宅ケアを追求して[2]—事例検討から
金子 仁子
1
,
渡辺 裕子
2
,
越川 英子
3
,
北山 美津子
4
1国立公衆衛生院公衆衛生看護学部
2千葉県下総町保健センター
3千葉県佐原保健所
4千葉大学看護学部・地域看護学講座
pp.648-653
発行日 1990年8月10日
Published Date 1990/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900103
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●前回の事例の要約
町の新任の保健婦として採用され,寝たきり老人の家庭訪問を行なった。しかし,老人本人,家族も寝たきり老人の状態を「しようねえ」と受け入れていることに疑問をいだきながら,どうすることもできないので,自分のなすべき役割を見出せずにいた。そんなときに,訪問間隔が開いていたある老人の家庭を訪ねた折に,「もう来ないと思った」と言われたことから,人間はやはり人との交流を持つことを望んでいるということを,保健婦が自分のなかで再確認し,村の老人たちが安心して人間らしく生活していく場を保障することが保健婦の役割と考えた。
村の人々の気持ちが,寝たきり老人は「しようねえ」ものととらえることから脱却して,人間らしさを求める方向に変わり,皆で話し合うことができるようにすることが大切であり,そのことが在宅ケアのシステムづくりをする第一歩であると考えた。健康づくり推進協議会や民生委員の集り,老人クラブなど,さまざまな組織にはたらきかけるとともに,保健協力員に対してはたらきかけを行なった。
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