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TALK・トーク・とーく
加藤 美奈子
1
,
大内 喜枝子
2
,
川崎 佐智子
3
1千葉県習志野保健所
2茨城県立こども病院情報企画室
3埼玉県春日部保健所
pp.704-705
発行日 1989年8月10日
Published Date 1989/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207800
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気持を尊重して地域で支える
「○○さん。習志野保健所の加藤です」元気な声であいさつをすると,足をひきずりながら,ヒョコッと顔を見せてくれる。会話はあまり通じないが,声のトーンがあがり,それでいくぶんかはしゃいでいるのがわかる。人でも来なければめったに笑い声も聞こえない。重度の老年痴呆の妻と,80歳を過ぎた夫の2人暮らしの生活のかかわりはじめて9か月が過ぎようとしている。
老年痴呆の患者さんにかかわったのは,このケースが初めてであり,ケースといっしょの一喜一憂してここまでやってきた。妻の介護疲れのためか,老いた感じがいっそう強くなる夫の姿を見ると,強固に拒否しつづけている施設入所や,ホームヘルパーの受け入れが実現したら,負担を軽減することができるのにと何回も考えた。
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