連載 老人のメディカル・チェック・19
歯科疾患(2)
加藤 凞
1
,
石川 須美子
1
1北海道大学歯学部第二保存学教室
pp.664-666
発行日 1989年8月10日
Published Date 1989/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207793
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4.歯周病の原因と成り立ち
歯周病は歯周組織(歯を支える組織)を破壊し,その機能をおかす病気をいう。一般には「歯槽膿漏」という病名が用いられているが,これは病態が明らかでない時代に,歯槽部(歯ぐき)から膿が漏れる病気という意味で使われた病名であり,現在では「歯周病」が正しい病名として用いられている。
かつて「歯周病は治らない病気である」「歯周病にかかった歯は早く抜いて入れ歯にしたほうが良い」という誤った考えが広く信じられていた。これは,歯周病の原因が不明であり,全身性因子が重要な働きをするのではないかと考えられていたためである。しかし,最近では局所因子であるプラーク(歯の表面に付着し増殖した細菌とその代謝物の集合体で,歯垢とも呼ばれ,とくに歯と歯肉との境の所に付着したプラークが原因として重要である)が原因としてきわめて重要な働きをすることが明らかにされ,歯周病の成り立ちも解明されて,「予防できる歯周病」「治る歯周病」へと進歩してきている。
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