連載 老人のメディカル・チェック・16
眼科(1)―老化と眼
市川 宏
1,2
1名古屋大学
2市川眼科
pp.394-396
発行日 1989年5月10日
Published Date 1989/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207742
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序.眼の働きと老化
眼はひとが生きて活動するのに必要な視覚情報を正しくとらえて,これを脳に伝達する仕事をしている器官です。視覚情報は日常ひとが受ける感覚情報のおよそ80%を占めており,視力を失うことは老人にとって死にまさる恐怖です。というのは,死は観念的なものなのに対し,失明は生きながら味あわなければならない苦痛だからです。
病理学的にみて老化を次の3つに分けて考えます。
①加齢によって必然的に起こる変化
②老年にいたるまでの永い年月の間に,自覚して,あるいは無自覚のうちに経験した病気が蓄積することで修飾される老年変化
③高齢者に起こりやすい疾患(老年病)
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