活動の中での保健婦の思い
Sさんとの出会いから別れまで—2年7か月の歩みをふり返って
小谷 玲子
1
1大阪府松原保健所
pp.426-438
発行日 1986年6月10日
Published Date 1986/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207169
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松原保健所に勤務して3年たつが,お年寄りとの出会いは心に残る。Sさんもそのうちの1人である。昭和57年,転勤と同時に関わり,初めは他人行儀なSさんに少々戸惑いながらも,近づいていった。付かず離れずの関係から,徐々に人間関係ができ,知らないうちに私はSさんの生活の中に入りこんでいったようだ。それにしても,Sさんとの交流は何年あったのであろう。計算してみると2年7か月であった。意外と短い期間なので驚いた。及ばずながらも,Sさんの生命や生活を支えようとある時は馬車馬の如く,またある時は,炎天下に体力を消耗しきってやっとの思いで訪問した。そんな時,Sさんの顔を見ると不思議に落ち着いたし,がんばらねばと奮起したものだ。長い長いつきあいだったように思えてならない。なぜ,そう感じるのだろうか……そのあたりを,出会いから別れまでの時々を記述することによって探っていきたい。
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