特集 事例と対話する事例検討—東京・特別区「訪問指導」研修を素材として
第1部/「訪問指導」研修を通しての自己拡大
読者と著者のTwo in One的一体化のために
丸地 信弘
1
1東大医学部保健学科
pp.1000-1003
発行日 1985年12月10日
Published Date 1985/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207088
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はじめに
ほぼ,1年前のことだ。旧知の岩永さん(東京都特別区職員研修所)からの電話で,「訪問指導」に関する研修をするから協力してほしいというのである。正直いって,私には唐突な話に思えたが,話をよく聞いてみると事情が少しずつ分かってきた。彼女はこんなことを言った。「時代的要請(ニーズ)が変り始めて,研修体制のあり方を検討する時期にきている。この際,訪問指導を"素材"にして,みんなでこの問題を検討(研究)してみたい。PHC研究会で開発した場的視点など用いて,一緒にやってもらえないか。」
そう言われれば,私達もここ数年間に数多くの現場研修を手がけてきたが,「場的視点中心だけでは何か物足りない」という保健婦さんの声も聞いている。そのため,上の話の数か月前から保健婦雑誌の連載で,従来の医学(CURE)的視点と場(CARE)的視点をちょうど一体化して捉え,人間的感覚を前面に打出した「第3の視点」を総論約に掲載しはじめていた。そこで,それらを実践的検討(研究)を深めるよい機会にもなるから,ひとつ一緒にやってみようということになった。
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