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私達の声
小坂 智都子
1
1保健婦専門学院
pp.57-60
発行日 1952年9月10日
Published Date 1952/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200367
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Hさん、Aさんに
私の「ナイチンゲール誓詞再考」に対して,あなた方が,あの様にお考えになるのは当然だと思います。殆んどの人があれを読んで,あなた方の樣にお考えになる事だろうと予期していました。そしてそれが,普通一般の人々の概念だと思います。けれども私は,私が何を云わんとしているのかを,もつと深く掘り下げて考えて頂き度かつたと思います。御賢明なあなた方にはあの奥にひそむ本質を必ずやお分り頂ける事だろうと私は思つていたのですが。……「宗教的臭みがある」といつたのを「……神に誓わん」と云う神なる語源があるから,そう云つたのだろうと考えて,神とは無限であり測り難いものであるとか,はては看護史,看護倫理の講しやくまで及んでいますが私は,あなた方の御説明を仰ぐまでもなく,神なるものの概念,看護史,看護倫理は一応心得て居る心算です。いえ,あなた方以上に之等の事に就ては,真剣に考えていると思って居ます。そうであればこそ,私はあの樣な所信を述べたわけです。私はあの所信に於て看護史や看護倫理の内容をうんぬんしているのではなく「ナイチンゲール誓詞は,科学の進歩と共に書きかえられるべきである」と云つたのは,ナイチンゲール誓詞に対する従来の考え方を再考すべきではなかろうか,と云う考えの下に書いたのです。
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