特集 転機にきている都市の保健婦活動
"きれいごと"で済ませていいのだろうか
福間 和美
1
1京都府立保健婦専門学校
pp.257-260
発行日 1976年5月10日
Published Date 1976/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205708
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去る昭和50年12月6日の新聞紙上において,国民生活審議会が10年後の望ましい国民生活像について,"国民生活の長期展望と課題"という題で中間報告をしている。その中間報告では,50年代の国民生活を取りまく環境の変化として①資源制約による経済成長率の低下,②人口構造面での老齢者の増大,③労働時間の減少,自由時間の増大④"消費の節約""生活の個性化"など価値観の変化の四つを前提に,今後10年後の政策の基本方向として,"高年層優先"型の政策を選定するのがもっとも望ましいとし,この場合"社会保障""所得・消費""生活環境""安全""教育""余暇"の順に優先度をつけている。具体的な政策の展開になるとあまり期待はできないのではないかと思いつつ読んだが,この中間報告に述べられている内容は,我々看護職にとっても無関心ではいられないものばかりである。人々の生活パターンの変化,経済施策,福祉政策の変化等において種々の形で業務に結びついてくる。ここ数年間の社会情勢を眺めても,老人医療費をはじめとする老人対策,福祉政策が表面化したかに見えたが,それらが十分進まぬところへ,1975年においては地方自治体の財政難が大きな問題となって,福祉政策にも影響を及ぼそうとしている。身近かなこととしても諸府県において公務員の人員減の傾向,保健婦定数についても従来の欠員補充程度にとどまろうとしているのが現状ではないかと思う。
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