声
仕事,生活を通して日々思うこと
岡田 里枝
1
1埼玉県児玉郡美里村役場
pp.808
発行日 1973年11月10日
Published Date 1973/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205384
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仕事を……私の保健婦としての仕事を思う時,いくらもしないうちに暗い気持が重くるしくのしかかってくる。本誌のこの欄に目を通して,同様の心情の仲間があちこちにいることを知らされて,ほっと安堵の念を抱いたり,やはりむずかしいなアとため息をつき,そして公私ともに雑多な用務やら多忙にまぎれて考え続けることをよす。しばらくしてまたふと思い煩う。こんなくり返しをしている自分自身に気づく昨今である。
私は田舎の保健婦。北海道から胸ふくらませ,村の健康管理を,明るい生活は健康から,とばかり1人で村の衛生行政を背負って立つかのごとく海を渡って来たのは4年前。農村で働きたくて,選んだこの地。実習で目にした東北の農村での黙々と働く婦人の姿が,私を農村で仕事をする気持にさせた。その実習地はまた医療機関の遠隔地でもあったから,医療に恵まれない地の苦しさ,寂しさ,空しさ,そんな気持に打たれて,私の働く場,人として社会人として生きる場はここだ…と思った。
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