ニュース診断
ことしの春闘と今後
久米 茂
1
1深夜通信
pp.202
発行日 1973年3月10日
Published Date 1973/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205248
- 有料閲覧
- 文献概要
人間の闘いの型には集団でやるのと個人でやるのとがあり,そして長期型と短期型に分けることができる――というのが私の仮説である。また闘いの内容には生活的な問題と思想や精神にかかわることと,国家・世界にかんすることの三つがあると考える。
さて3,000万の日本人がなんらかのかたちでかかわりをもつ春闘は,上記のどれに組み込めるか。"集団型""短期型"そして"生活問題"というのが一応常識的に考えられるだろう。だがこれまでの春闘を見つめてきた限りでは,そうとばかりいえない気が私にはする。すなわち"個人型"でもあり"長期型"でもあり,また思想にかんする事柄でもあると思う。なぜなら春闘とは労働運動の一つの型(というより方法)だからである。しかも,日本ではこの春闘方式こそが労働者の闘いらしい唯一の,そして最高のものであり,したがってそこにはその活動を支える個々の感情や思想が,ケルン(中核)として機能していかざるをえないからである。
Copyright © 1973, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.